天平の甍 [VHS]

天平の甍 [VHS]

Attributes

Director : 熊井啓
ReleaseDate : 1986/09/01
NumberOfItems : 1
Artist : 井上靖
Label : 東宝
Format : Color
Studio : 東宝
SeikodoProductCode : TG-1178V
ProductGroup : Video
EANListElement : 4988104000934
Manufacturer : 東宝
Publisher : 東宝
EANList : 4988104000934
Actor : 中村嘉葎雄
Actor : 大門正明
Actor : 浜田光夫
Actor : 草野大悟
NumberOfDiscs : 1
PackageDimensions : 11273238419
SKU : X220548309

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10年がけの執念に、心動かされます。

 東京国立博物館で開催された「唐招提寺展 国宝 鑑真和上像と盧舎那仏」2005年1月12日(水)~3月6日(日) で、この映画の上映がありました。
 仏教の教えを日本にいきわたらせる目的で中国から高僧を招くために、日本の若き僧が中国に渡る。鑑真和上に出会い渡日の承諾を得るまでに10年近くを費やし、その後成功するまでに11年6回の企て。この時代のこのプロジェクトは、現代でいえばアポロが月の石を持ち帰った快挙に近いかもしれません。
 結果的に僧の一人普照は目的を達しましたが、途中で別の道に歩んだもの、病で命を落としたもの、30年以上の労作とともに海の藻屑と消えたものの姿も描かれます。必ずしも報われない”10年がけの執念”が凝縮されて、唐招提寺として今に伝えられていることに素直に感銘をうけました。こういったストーリーをふまえて見る古い寺院や像は、実に生々しく立体的でした。
 こうやって人類は一歩一歩進化してきたのですね。報われるか報われないかを考えていたらできないことです。この映画も、ビデオ/DVDとして伝えていってほしいと思いました。

中村さん、しぶい

教科書で何度読んでも、知識として知っているだけで実感として伝わってこない事は多い。
「仏教はインド→中国→日本と伝わった」
「遣唐使は行って帰るだけでも大変、でも中国の文化を日本へ伝えた」
小学生でも習うことだけど、それがどんなに大変なことなのか深く考えてみたことのある人は少ないだろう。
国の将来のために、先進国のあらゆる事を吸収すべく選びぬかれて唐土へ降り立った青年僧に老僧がつぶやく。
「自分がどれだけ学んだってたいしたことがないと、早く気づくべきだった」
理想に燃える若い僧たちは愕然としたり、軽蔑したり。
しかし、彼らも年月を経てゆくにしたがって、帰れないかもしれないという不安や、自分はいったい何をやっているのだという焦り、時を無駄にしてきただけではないのかという恐怖と闘ってゆくことになる。
壮大な文化・時間の流れの前に、一人ひとりが放り出されてもがく。
光明となるのは、鑑真の揺るぎない信念。それだけを信じて主人公は粘り闘い続ける。
先に原作を読んだクチですが、こうして時代やその土地の風景を映像で見てみると、文字で読んだことがひとつひとつ「ああなるほど」と腑に落ちました。
中国の風物やインドの影響の強い仏像など、読んでいるときの想像力の追いつかないような興味深い場面がたくさんありましたが、特に栄叡の葬送の場面は忘れがたいほど荒涼として哀しく、そして美しい場面です。
作品全体としては、原作のもつ抑えた力強さがそのまま活かされていたように思います。
原作では、留学した当時の僧達はもう少し青臭い若者という気がしていましたが、映画の普照は最初から人格が老成している印象でした。
それにしても格好いい。中村嘉津雄さんってこんな素敵な役者さんだったのですね。挙措全てが美しい。